
『今の人って』
今の人って、自分も含めて頭で考えているようになっているんだな、と思った。掃除は汚れたらすぐする、それは当たり前のことで、汚れたらとっさに手が出て雑巾を用意する、という行為が昔の人はできていたのではないか。けれど今は、トイレは自分の物が排泄されるところ→そこを掃除していると自分はイカほどのものでもないという謙虚な気持ちになれる→謙虚な人は人から好かれ信頼される→よい仕事がまわってくる→お金が貯まる、「だからトイレそうじは金運と結びつく」と、五段論法・六段論法で説得されなければ動けなくなっているんだと思う。だからこの手の本が大ヒットしているのだと思う。そうじ界に限ったことではない。たとえば就職・労働にしたって、自分の祖父母くらいの世代の人までは、「働くのが楽しいから働く」(昭和の名作「古都」にも、「毎日楽しい楽しい、働かせてもろて」という苗子のセリフが出てくる)という感覚があったかようだが、今どきの就職市場は、大学のセミナーで新入生たちに「なぜ働くか。それはこれこれこういう生き甲斐が得られて生涯賃金が幾ら幾らになるからだ」とソレなりに魅力的で辻褄の合った動機を用意して発破をかけることから始まっているんだもんね。そうしないと働かないから。
この分でいくと、「なぜ歩くのか」みたいな本だって売れそうだ。
これは貧しさなのだろうか。豊かなのだろうか。
そんなことを、リビングを無心になって掃除していたらふと思いました。私も同じ穴のムジナ……。